区議会 第4回定例会 金井えり子が一般質問を行いました。質問全文をご覧いただけます。
金井えり子
2022年第4回定例会 一般質問
1. 世田谷区の高齢者福祉の充実~介護保険は利用者目線で
11月13日の朝日新聞に「障害者控除 要介護の高齢者も」という記事がありました。「障害者手帳の交付がなくても手帳をお持ちの方と同様に、障害者控除で税負担を減らせる可能性があるがあまり知られていない」という内容です。認定基準が自治体によって違い、埼玉県川越市では要介護1~5の認定を受けている高齢者であれば障害者控除の対象となるとされています。世田谷区でも11月15日号の広報せたがやに「要介護等認定を受けている高齢者の税申告に伴う障害者控除」として掲載されました。世田谷区では、65歳以上の要支援・要介護認定者となっています。記事の中では、お住まいの地域の総合支所保健福祉課にご相談くださいとあり詳しいことが分かりません。調べてみると介護認定の資料を参考にご本人の身体状況等を確認し、障害者控除認定書を交付されるとありました。65才以上の要支援・要介護認定者の方全員がうけられるわけではなく個別の確認が必要ということでした。介護保険、医療保険などの負担が増え物価も高騰の折り、使える控除があるなら使いたいという方は多いはずです。せっかく控除があっても情報が届かなければ意味がありません。①この情報が該当する方に周知されているのでしょうか、また、65才以上の方が対象であり申請の手続きなどは分かりやすくする必要があります。その手間や分かりやすさなどについても併せて伺います。
2024年、3年に一度の介護保険制度の改定が行なわれますが、史上最悪の改悪といわれ介護関係者や識者からも批判の声が上がっています。おととい、11月28日に厚生労働省が7つの制度見直し案のうち3案を優先して検討するという考えを示しました。サービス利用料の負担割合が2~3割となる人の対象拡大、65才以上の高所得者の介護保険料の引き上げ、介護老人保健施設などの多床室の室料の全額自己負担化の3案です。サービス利用料の利用者負担は現在1割負担の方が9割、この大部分の方々が2割負担になるということです。負担が増えればサービスを控え重度化が懸念されます。
介護保険制度の基本、「尊厳を保持し、能力に応じ自立した日常生活を営むことが出来るようなサービスを給付する」といった理念から遠ざかり、改定のたびに給付抑制と負担増がくり返されています。その結果さらに家族の負担が増え、ヤングケアラーや介護離職など益々増える事が懸念されます。利用者側からもサービス事業者からも不安の声が大きく聞こえてきます。心配された要介護1・2の給付見直し、ケアマネジメント料の有料化など4案は事実上先送りの公算が大きくなりましたが、世田谷区で要介護1・2の方は15000人以上、今の区の総合事業に受け皿があるとは思えません。②この改定について自治体から国にしっかりと見直しを求めるべきです。区はどのように対応していかれるのか見解を伺います。
介護保険の課題は、財源不足と人材不足です。介護職はプロフェッショナルな仕事として、コロナ禍ではエッセンシャルワーカーという名前でよばれ感謝もされましたが、賃金などをみてもまだまだ社会的に十分報われているとは言えません。介護は家族が担うといった意識もまだ変わっていません。介護職を育てる大学や専門学校なども軒並み閉学、募集停止に至っており、これだけ求められている職種なのに育成の場すらなくなってしまっています。もっと社会的に評価されるべき仕事です。
介護の魅力発信ということで、うめとぴあで行われた「介護プライド」がありました。すてきな写真と熱い思い、暖かいコメントが並び介護の魅力を伝えるには大変よい取り組みと感じました。ただ、うめとぴあで2回、期間限定での開催では、どのくらいの方がご覧になったでしょうか。③例えば、若い方に興味をもってもらえるよう大学などでの展示や多くの方が集まるような場所を選んで開催するのはいかがでしょう。見解を伺います。
④若者や、子ども達が自然に、こんな素敵なお仕事もあるのだと思えるようなアプローチも必要と考えます。区の取組みを伺います。
2.食の安全安心を求めて
今、食料危機が懸念されています。日本はもうすでに食料危機のただ中にいるとおっしゃる研究者もいます。食料自給率37%、輸入頼みの日本です。コロナやロシアのウクライナ侵攻などの影響をみるとこれから世界的にも食料は自国で地域循環型になるといわれます。自給率0%の世田谷区としては、安全安心な区民の食の確保という視点を持ち、自治体間連携などすすめておくことが必要と考えます。いつどこで何が起こるかわからない昨今の状況です。
区では、「食品の放射性物質検査」を行ってきました。福島第一原子力発電所事故から11年を経て、放射性物質濃度が全体として低下傾向にあり対象品目以外から検出の可能性が低くなったことから検査を縮小していくことになりました。私たち、生活者ネットワークは、世田谷区のこれまでの検査体制や給食などへの対応は高く評価しています。区民の安全安心の確保と緊急時の備え、精度の維持はされるとのことですが、今後も検査機器のメンテナンス、進化する検査方法などの情報収集を求めます。⑤改めてこの検査の縮小について区民への説明やまた将来の見通しも含め区の見解を伺います。
3.香害の周知啓発、空気中の化学物質の調査について
先日、小学生から「アレルギーがあって、学校がほこりっぽくて苦しくなる」という話を聞きました。2020年の東京都の調査では、3才までに何らかのアレルギー疾患があるという診断の子どもが38.1%でした。原因は様々とは思いますが、子どもの過ごす環境にはより注意が必要です。平成12年から「健康的な学習環境の維持管理するために」として文部科学省が空気の調査を行っています。シックハウス症候群、シックスクールなどの問題から区立小中学校で子どもがいない夏休みなどに定期的に空気中の化学物質や粉塵などの検査を行っているのです。最近の検査では、建物由来の化学物質は基準値を超えていない結果と聞いています。シックハウス症候群だけでなく、化学物質過敏症や他のアレルギーの方への配慮、調査も必要と考えます。⑥例えば子どもがいる場での空気環境の測定や「必要に応じて行う」とされる検査項目の定期的な検査など、現状にあわせた検査にできないのでしょうか。区の見解を伺います。
アレルギーの代表である花粉症と化学物質過敏症には共通点がいくつかあります。生まれつきの患者はいないこと、原因物質を繰り返し体内に入れることで鋭敏な拒絶反応が生まれることなどです。明らかに違うところは、原因物質が自然由来か人工的なものかということ、そして今、花粉症を知らないという人はほぼいないと思われますが、化学物質過敏症については、まだまだ知られていないことです。体調の悪さ、症状の苦しさはもちろんですが、周りに理解されないことがとてもつらいと聞きます。一方、香を使用している保護者からは「学校で香をつけていないと子どもがいじめられる」という声もありました。香に対する思い込みや過剰な広告の影響が子ども達の間にも偏見や同調圧力のようなものを生み人間関係にも及んでいます。⑦正しい情報を伝え、化学物質過敏症への理解、健康被害につながる可能性のある香害の更なる周知啓発を求めます。区の見解を伺います。
カナダ、アメリカでは行政機関、病院、図書館など公共施設で、フレグランスフリーポリシーを取り入れ、喫煙同様香料を身に着けることを禁じる動きがあります。受動喫煙ならぬ受動化学物質吸引を防ぐため必要な取り組みです。区は、チラシの掲示や国のポスターなど活用して香害の周知啓発をすすめるスタンスをはっきり示されていると思います。ただ、これだけではなかなか理解が広がりません。先ほども申し上げたように化学物質過敏症は花粉症と同様にだれがなるのか、いつ発症するのかもわからないものです。多くの有害化学物質に囲まれた現代社会の中で、健康被害が広がる前になんとか手を打つべきではないかと考えます。⑧フレグランスフリーポリシー、区はどのように考えられるのか見解を伺います。